Am：朋義 グリッサ

……シャーロッタ様、ありがとうございました。

[主の“最愛”に感謝を告げて、深く深く息を吐き出した。

帰りの車中で聞いた話だが、主は話が聞きたいのだと頼み込まれて別荘までついて行ったらしい。
携帯端末は別荘に着いた際に取り上げられ、何かおかしいとは思ったようだが、彼の性質から疑う事はしなかった。
男に通話した時は使用人に催眠をかけて携帯端末を取ってこさせたようだ。
その後、電話したのが気付かれないように携帯端末は戻させた、と。
三日かかってしまったのは出来る限り穏便に済ませたかったのと、一人で帰ろうとすれば更なる迷子になりかねないので気の緩む時機を待っていたらしい。

少し落ち着いてきたので手を離し、部屋の中を見渡すと、テーブルの上には手紙が置いてあった。
男は椅子に腰かけてから、それに視線を落とす。
封筒は前回と同じだったが、貼られた切手が少し傾いており、ブロック体の筆跡もややたどたどしくなっている。
首を捻りながら、鋏で封筒を切った。]