残鷺の君 ヘロー

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　私の罪状については君も既に知っている筈だが――。
　エンジニアとしての私の技術と、“■■■■”に関する情報。
　これらを全て王城に献じれば、プリンス・カプリムルグスが
　私の減刑に尽力する、と。
　そして私の家族の身の安全も保障する、とね。
　

残鷺の君 ヘロー

　……そんな顔してくれるなよ。
　“紅翼”も“碧翼”もひっくるめて下町の皆（“地を這う”地位の下層民たち）が
　ついている君は一人きりじゃないんだから、大丈夫。

　それに、あの男――■■■■■■も君の傍にいるなら、
　短命な流浪の者とはいえ心強いだろう。
　尤もアイツも、仮に再びこの地に降り立つことがあろうとも、
　いつかは君から離れていく客人ではある。
　それでも今日、アイツからの手紙の話をする君の姿に触れて、
　私にはそう確信できたよ。

　だから、私なんかが――私がいなくたって、
　エナガ、君は大丈夫だ。
　

残鷺の君 ヘロー

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「ヘロン、ヘロン。
　■■■はこの森に生きる民の末裔であって、
　人間に飼われるイヌではないのよ。
　いくら人間のあなたを認めてくれたからって、
　断りもなしに身体に触れてはダメ」

　そう、だったな。
　魔獣たちは、人間の愛玩動物なんかじゃない。
　……すまなかった、■■■。


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残鷺の君 ヘロー

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「あー、アンタそう（女性）だったのか――って言うのも失礼だな……。
　『今は体調悪い』っつってたのは、そういうことか。
　……ヘロン。色々と、悪いことしたな」

　気にするな。大げさに言うことでもなかったからな。
　この王国で「国民が着ていい」服の中では、これがまあ、
　一番性（しょう）に合っていたんでな。

「そうか。性に合ってる……か。そういう人間もそりゃいるよな……」

　うん？　どうした、■■■■■■。

「あーいや、実はさ、その、俺。
　そういう衣装のバンドマンが集う舞台（リージョン）での仕事で
　昔……流れでちょっと着させられて……な……」

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