[だから「還れ」と言うつもりだった。けれどそれさえ、言えなくなってしまった。孤独に数年浸かった身にコウの優しさは、甘すぎた。奥歯を強く握りしめ、全身に力をいれたなら駆け巡った憤りの全ては自分自身に向けて。] 本当に貴様は見る目がない。 生まれ変わる時はもう少し、神にでも頼んでマシにしてもらえ。[奪う事しかできない男の元に、来るというのなら。次はもっと幸福になれるといい。誰からも祝福され、何も失わなくていい、そんな‟次”を。]