ここは抱き上げるところじゃないんだ……。
[これを元の世界では担ぐという。
米俵とかがよくされるやつだ。
二日酔いかもしれない人にやる行為ではないと思うが、ピギーのこの運び方は安定感があるから文句は言いにくい。
抱き上げる、をされて血圧を上げない自信もないし。
むしろ優しさなのかもしれない。絶対違うけど。
そんなことを脳内から指輪越しに独り言で零しながら、大人しく椅子に座らせてもらう。
そしてぼさぼさ頭のまま、お茶を淹れる姿を眺めていた。>>C9
窓の向こうの空は、地平線の彼方の夜色を薄くしてきていて、静謐な朝の始まりを予感させる。
いつも気配のないピギーだけれど。
夜と朝の境に滲むような存在を心で感じ取っていた。]