── 一日目・ ? ? ? ──
[起動した時、私はどこにいるのか分からなかった。
そこは狭い部屋だった。もっとも、私の人工知能が搭載されているのは、一般的な成人モデルよりも大型の戦車だから、一層狭く感じるのかもしれなかった。
動作確認のために動力装置を稼働させようとすると、静止された。>>*1声をかけた相手は人もできであるとレーダーが知らせていた。]
あなたは誰ですか?
[彼は名乗ったが、後にその名を忘れるように命令した。指示に従い、タイマー機能で彼の情報の消去をセットした。実際のところ、彼の名の正誤性はさしたる問題では無かった。むしろ私のデータベースがハッキングされるリスクを思えば、個体識別情報を私に与えすぎず、匿名性を高めた方が良い。重要なのは、目の前のヒトモドキが私にとってどの立場に当たるかだ。]