せんせい、……ううん [小さな鞄に、手紙とオルゴールを手早く詰める。 変わり映えのしない服と、真新しい緑のリボン ──たったそれだけが私の持ち物。 もう、せんせいとは、呼べなかった。] 私、好きな人がいるの でも、どうしてもあの時の私には、 一緒に不幸になっても構わないって、言えなかった。[だから、と服の裾を握り締める。 耳の奥がきぃんと音を立てて、心臓が早鐘を打って、 もうなんにも分からなくなるけれど。]