星狩りの国-暁の街-

15 Mystic Letters ― ヒトとアヤカシの手紙 ―


【墓】 【妖】 作家 添木(ソエギ)

[彼女はいつだって誰かに恋をしていた。
太陽が朝になれば昇る程に当たり前だった事が、また一つなくなってしまう。
いずれは彼女もいなくなってしまう。
親しくしていた同胞との別れは、何度経験したって慣れないものだ。]

「そんな顔しないの。
まだずっとずーっと先の心算だけど、私が枯れたら、一つ持っていってね。
文ちゃんが拾ってくれるまで遺しておいてあげる。」

[そう言って笑う彼女に、添木は肯く事しかできなかった。
きっと今回声が掛かったのは、それを話す為でもあったのだろう。

数百年来の付き合いである付喪神が己を見送ってくれるのだと、
己がいなくなった先も人間界で生きていくのだと。
その信頼が添木の胸を痛ませた。]

(+16) 2023/12/16(Sat) 21:12:22

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