[気付けば管理施設を飛び出し、人々の間を縫い、 逃亡者のように静かな森の中へ逃げ込んでいた。 追いかけてくる人がいなくなったことに気付き、 ついうっかり、木の根に足を引っかけて、前へ倒れる。 掌からじわりと血が滲んで、それ以上に心が痛くて、 私はやっぱりまた泣いた。 知らない痛みと知らなかった嘆きに、 管理されていたままの心が追いつかない。 震える足を叱咤して、森を抜ける。 この先に、出星管理センターがあることを 夢渡りとしての生活の中で知っていた。]