「お楽しみは明日にね。
あ、儡兄達にも着せるからその心算で。」
……は?
[いつぞやの悪夢を思い出して男は硬直し、すぐに確認する。]
それは、男物だろうな?
「美は性別を超えるものなんだよ。
なーんて、嘘、嘘。
ちゃんと着られるものにするってば。」
[酒の入った友人はけらけらと笑う。
化粧を施され、髪を弄られ、引っかけたら破れてしまいそうな繊細なレースのふんだんにあしらわれたコルセット付きドレスに身を包み、ハイヒールを履いてランウェイを歩かされた記憶が蘇る。
鍛え上げられた体幹で何とかねじ伏せたが、あれは二度と味わいたくない。]