[ヒノモト原産のメロンリキュールだけは本当に駄目だった。爽やかな風味ながら確実に脳を揺らしにくる。
ロンググラスを一気飲みして数分。相変わらず顔には出ないが目は確実に据わっている。
徐にテーブル席に座っていた流れ傭兵らしき風貌の男の元へと近寄り、視線が合うよりも早く太い膝の上へ乗り上げてしまった。男は驚愕し、その口許に咥えていた紙煙草がぽろりと零れ落ちそうになる。それを器用に指先で挟み、伸びかけていた灰をテーブル上の灰皿に落としながらささめく。
キツめの吸ってるね。
これ、一本ちょうだい?
[有無を言わさぬ雰囲気。男はまだ分厚い紙ケースにおずおずと手を伸ばそうとする。それを見て合意と受け取ったのか、キャッチした煙草を咥えてうっとりと濃ゆい煙を顔目掛けて吐き出すと、膝の上を離れて再びライン上に戻ってきた。]
もう1プレイしようか。
[泥酔するとかえって明瞭な語り口になるらしい。モブおじさんよ、事故に遭ったと思って諦めてくれ。]