脱獄への意志
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アリシア、君に「レイル」と、また呼んでほしい。ただそれだけの、淡い期待は、
初めてお嬢様に出会った時のドレスの色を彷彿とさせる。
嗚呼、お嬢様。
貴方にもう一度微笑んでほしい。
苦痛に歪む表情を、もう見たくないから。
この万年筆がお嬢様の安否を不穏にしてしまったから、
私は壊れてしまったのかもしれません。
それでも愛してくださると、信じているのです。
お嬢様に毒を注ぎ、苦痛を与えたと知った時ですら
貴女は私を愛してくれていたから。
この顔に傷が出来ても、
この身に傷が出来ても、
お嬢様なら愛していてくださっていると。]