[何もなかったように話す彼女の心中>>105を結月は知らない。
喧嘩別れしたでもなし、部員との関係はまぁ良好だ。>>64
ただこちらが気まずいのもあり、交流があるとも言い難い。>>157
避けてませんよ。近づかないだけです。
胸の内で呟いた言い訳は、誰に対してのものだったか。
物思いに耽りそうだった結月を引き戻したのは当人だった。]
図鑑……ですか。
[彼女には彼女の目的があったようで、結月は胸を撫で下ろす。
撫で下ろして、相手に見えないように苦笑した。
自分に何か用だったんじゃないか、なんて。自意識過剰を恥じる。]
こちらへどうぞ。
[彼女の声は時として防犯ブザーにもなり得る。
それに比べたら、今の真宮寺は常識ある声量だ。>>106
だからと言ってカウンター前でお喋りに興じる訳にもいかない。
結月はすぐに立ち上がって書架の方へ案内した。
二人が通り過ぎるテーブルには、幸か不幸か人がいない。]