[歌手の背後には、バンドメンバーが影のごとく薄ら浮かび上がる。
やがて舞台照明が鮮やかに移ろってからは、パフォーマーがステージ上に出現し、歌手を引き立てる形で文字通り乱舞する。
これらの演者たちの身体は実体を伴ったものだが、仮想の身体の歌手との間には違和感を生じさせない。
ステージの前方や、ステージの側方を囲むスタンド席では、闇の中に色とりどりの光が灯る。
それは観客たちが手に持つペンライト。
その光は音律に合わせて一斉に動きながらも、個々の生命の違いを表すように、幾らかだけ揃いのない動きで揺らぐ。]