ええ、お嬢さんも気が向いたら、あの灰色の薔薇で 染めた手紙をお書きなさったらいかが? わたくしのガーデンに今咲いている薔薇であれば、 好きなだけ摘んでいって構わないわ。[プラルトリラは「お嬢さん」にそう告げてから、再び占星術の冊子を開いた。天の星灯りの他には灯りのひとつも届かない夜闇にあって、庭園の主は難なく紙面を読み進める。 はあと溜息を吐いた「お嬢さん」の目もまた、闇の奥に密かに佇む薔薇の樹に、はっきりと焦点を合わせていた。]