イニシュは、冷たい風吹く海の上に 幾つかの小島が浮かぶリージョン。 コルンバはその中でも一番大きな島から生じたんだ。 イニシュには、人間はあまり多くは棲んではいなかった。 それよりも草木が、獣が、鳥が、魚が、虫が、 そしてコルンバのような幽幻のものが主たる島だった。 ヒトは野の生物や妖しのものを恐れ、畏れもしたが、 それでも特に深刻な対立があった訳じゃない。 誰もが各々に、時に互いに関わり合いながら、 至って静かに日々を過ごしていたんだが――