星狩りの国-暁の街-

46 ― Blood on Letters ―


庭園の主 プラルトリラ

[「お嬢さん」は黒菫を描いた白磁のカップに口を付けたまま、紅衣の語り手を見つめていた。
 老婦人の顔をした語り手は、穏やかな面持ちのまま、話を続ける。]


 ええ。わたくしたちは永遠の存在のようでいて、
 ふとした瞬間に終焉を迎えてしまうこともある。
 ……たまに真の不死者がいるとかいないとか、
   そんな噂が囁かれることもあるけれども。


[「いるの!?」と咄嗟に口にした「お嬢さん」の手からカップが滑り落ちかけた。
 辛うじて一滴の茶も零さずに済んだ若き吸血鬼の焦りぶりに、老生の吸血鬼は微笑ましげに声を上げてみせる。
 さて、そんな「噂」として語られるのは一体誰のことか――そんな含みでも持たせたかのようなくすくす笑いを零した後、プラルトリラはさらに話を続けていく。]

(4) 2025/07/08(Tue) 21:13:01

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