[あのときは、そう、作戦名「風見鶏」なる重要任務中でした。
私達「ミロク」斥候部隊は、前線をあえてぐるりと迂回し、敵陣に踏み込み相手のキャンプ地を探る。そんな内容だったと記憶しています。
しかし踏み込んだ先、通信電波の乱れと共に地雷の存在を見落としたのです。
現場にはチャフに似た高濃度の物質が充満していました。
結果、私という後方サポート役を残し、親しかった「ミロク」チームメイト全員を失いました。
私のことを愛称で呼んでくれる者はもう誰も居ません。
自身のナカにぽっかりと穴が開いたまま、次の任務に当たりました。
喪失感から判断を誤り、担当部隊「船乗り」の半数を失いました。
取り返しのつかないことをしてしまったと、酷く後悔しています。
私の名前はナビゲートスキャン機3-Ke。親しい者達からは、ミケと呼ばれていました。
あの暖かな記憶は、刹那の幻のように、泡沫へと溶けてゆくのでしょう。*]