[しばらくピギーのカップを見つめていたが、ハッとしたように肩を揺らすと、元の位置に戻すように促した。
カトラリーの中のナイフを探し出し――果物ナイフではないため使い辛いが――もうひとつのりんごを手にする。
くるくる、くる、途切れることなく一気に皮を剥いて。
2回ナイフを入れて切った薄いリンゴをそうっと浮かべるように自分のカップに落とすと、また移り変わる様を無言で眺めていた。
明るい空の色をしたお茶。
飲んでみるとふんわりリンゴの甘酸っぱい香りと味が加わり、先ほどよりも飲みやすくて美味しくなっていて。
おいしい、と伏目がちに口元を緩ませる。
食事より先にちびちびと飲み干していった。
食べ物もゆっくりと全部胃の中へ。
スパイシーなひき肉はこぼさないように気をつけながら。
最後にチーズとハムにしたのは辛味がなさそうだからで、チーズのまろやかさがそれを正解だと、口の中に旨味ばかりを残す。
流石にリンゴは半分ほど食べきれなさそうで。
ナイフで切り分けた半個分をピギーに譲ろうとしてみたりした。
もし拒否されたら昼にとっておくだろう。]
ごちそうさまでした。
[習慣のままに手を合わせて朝食は終了となった。]