《 声の張り方が独特。歌が上手い。
そういう観点で僕を評価する人々もいた。
今でも、“ 僕 ”に対してそう讃える人々がいる。
その技量を僕に培わせたのは、間違いなく、
ロサの民の長い歴史と共にある文化であり、
その一つとして、民がその知識を有する、
神さまと、神さまから賜る幸いを讃える歌劇だった。
僕はあの星で、演劇というものに――
確かにあの時、神さまを讃える芸能に心惹かれて。
それで真っすぐに、故郷の舞台に立つ役者を志した。
当然のように、あの歌劇の発声法も、
血が滲むほどの苦しみと共に習得した。 》