[羊籃の一部と共に堕ちた悪魔は
ボロボロの体から流れる赤を雨に交じらせ
大地にしとどに、しみこませている
それでも、この広大な廃墟の瓦礫の中では
染み入るのは人1人の赤であればちっぽけなもので
雨混じりの痕はきっと、太陽が昇れば
その痕跡すら掻き消してしまうのだろう
いのちって、ほんっと、すぐ消えちゃうのね
それが自分の番ってだけで――まだかもしんないけど
この場に留まっていたら確実にそうなるわ
落下のダメージは焼けてなおふわっとした羊の毛が受け止めたものの、至近距離の爆発のダメージは確実に体に蓄積され
腹の上で未だ熱を発している残骸を
蹴り飛ばすくらいしかもう、動けず
私は通信を開いた]