― 夜の女王のアリア:本部 ―
[その日の赤い男は、珍しく笑って居なかった。
喪に服すわけではないが、結果的にそうはなるのか。手元の銃の整備をしながら、他の幹部達と幾つか言葉を交わす。
他の幹部と言っても、現在『残って居る幹部』になる訳だが。
あの雨の晩、公爵だけではなく複数の人間が死んだ。
トップではないものの繰り上げ式に上位役職となった自分は、ある程度下の者の面倒を見る事となる。
無論元から自分の元に居た部下も居るのだが、――大抵はコンピューター弄りをするインドア派だ。
銃を持った事はあるが腕はよくない。高威力の物を担いで本部の玄関で籠城しておけと命じ、自分は死んだ幹部の部下を引き連れる。
すげ変わった上の首に不満を浮かべている気配は感じれど、文句を言う気は更々無いらしい。
当たり前だ、我々は今から報復に打って出る。
アナログな地図を広げルートを確保。一先ずは他組織のテリトリーと接している部分を優先的に守りに行けと命じ、『誰がやったか』の痕跡を探るものを数名手配。
既に暴徒が発生しているとの報告を受け、火消しに走る者も居た。>>4
ロケットランチャーを担ぎ出す者も居たが、街を吹っ飛ばす気かバカととりあえず場を制す。
だが、必要とあれば使っても良いだろう。]