[前の町を出て数時間走り、辿り着いた町で一休み。
近隣のメカ達から崩壊都市と呼ばれている、
そんな灰色の街並みに響くのは無機質な音声だ。
ここにはまだ機械が多く存在しているけど、
僕みたいに自由に思考するAIを持つメカはいないみたい。
あくまで機械的に、与えられた作業を実施し、
何か入力があれば相応しい出力を返すのみのようで。]
ねエ、この町デ人間、みなかッタ?
止まッテナイ、動いテ話ス、人間!
『正常化を開始します。
正常化を―――』
[僕からしたら見上げる程大きな人型メカ達。
彼らは皆一様に同じことしか言わなくって、
僕の言葉は聞こえちゃいないみたいだった。
……作業中のメカ達はそれしかできないみたい。
取り付く島もなく、僕は排気をぷしゅうと吐きだした。]