《 「君の演技なら、多銀河で通用する。」
そう言われた僕だから、「演技」には拘った。
……本当に皮肉な話だ。己を偽りたくない者が
「嘘の世界」に拘るっていうのだから。
喩えそれが、夢や希望を、勇気を、信念を、
人々に届けるものであってもね。
だから……あちらの歴なら6年位前だったかな。
ただ「歌は上手い」とか、或いは「顔は良い」とか、
そういう評価ばかり耳に入ってしまった時期は、
本当に、本当に、堪えた。
その実態は、悪いことがひとつ耳に入ると
良いことが聞こえなくなる、の類だったかもしれないけれど。
この身体を僕が選んで生まれた訳じゃないし、
歌だって、演じることそのものじゃないし――
僕らの一座が――否、僕が、あの時の公演で
伝えられたことって、いったい何だったのかって。 》