[砂の上はぐちゃぐちゃだった。何にも成らなかった。髪を乱した結月は、息を切らせながらそれを見下ろす。] ……アハ、[笑いとも取れない声が漏れた。右手を持ち上げ、折れた枝を見つめる。沈黙。――ポイ、と。手首の動きだけで枝を手放すと、結月は海の方へと進む。足首が海に浸かった。波が寄せては引き、結月の足を撫で、濡らしていく。]