星狩りの国-暁の街-

26 ― 境界の先への手紙 ―


泥の男 ガァド


泥だらけの素足で、小さな世界を歩んでいく。
彼は泥から這いずり出たような生き物だった。

底なし沼と同じ黒い肌。
身にまとう靴も外套も湿ってる。
ぐちょり、ぐちょりと、靴の中で音を立てる足は
きっと泥でできていた。

純白の世界が靴裏の汚れで穢される。
小さな小さなハサミの蟹が、
その汚れに突っ込んで、何だこれはと泡を吹く。

きれいな世界、無垢な世界。
なんにもありはしない世界。

ああ今日も。

白い月が空に浮かんでいる。
漣の音が彼を呼ぶ。

(8) 2024/09/17(Tue) 17:48:35

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