ー回想・その事件が起こる前ー
こんな時代でもーーこんな時代だからこそ、
“Harriko”の服には、夢の世界をたくさん
詰め込んでいるんですよ!
着てくださるかたにもその周りのかたにも、
ツラい現実も少しだけ乗り越えられるようなーー
[この女、ハリコは、ファッションデザイナーだった。
自身の名と同じ“Harriko”のブランドを掲げていた彼女はこの通り、表向きは至って“普通に生きてる市民様”の側に立って社会に出ていたーー“普通の市民”ではあっても“無名の市民”ではなく、デザイナーとしての知名度と地位、それなりの財を有してはいたのだが。
そして表向きならぬ裏側においても、特段裏社会とつながりがあったわけではなく、個人としても何かしらの違法行為に手を染めていたわけではなかったのだ。]