全くもう!どうして下水道に倒れてんですか、あんたは…。[赤毛の男は肩を落として嘆息した。そこには疲労や安堵の色もある。何故なら、男の主は少し目を離しただけでも迷子になってしまう性質だからだ。]「だって、運命のひとがこっちにいるような気がしたんだ。」[王子は夢見るように目を細めた。“お姫様”は人間で、“王子様”は吸血鬼だった。王子は運命の片割れを同族にする事はなく、死に別れた。それから王子は亡くしてしまった“運命の相手”を求めてかれこれ数百年、彼方此方を旅している。]