[…花園の通路を優しく歩く。今日も、安寧の楽園に異常なし。石の裏に潜む虫達も、安心して春眠を貪る。カーネーションが、花びらのドレスを揺らして楽しそうに踊る花壇についた。この楽園には、もともと誰もいなかったかのように彼らはその痕跡を消し、美しさだけを募らせる。それを夜鷹は、どこか寂しそうに見つめていた。人間たちがいた痕跡が埋もれていく。草木に、枝に、花に、葉を。何もかもが埋もれた葛のなか。ふと、キラリと何かが埋もれているのが目を入った]