星狩りの国-暁の街-

20 ― 遺されたモノたちの手紙 ―


碇星魄 インダラクス

[…花園の通路を優しく歩く。
今日も、安寧の楽園に異常なし。
石の裏に潜む虫達も、安心して春眠を貪る。

カーネーションが、花びらのドレスを揺らして
楽しそうに踊る花壇についた。

この楽園には、もともと誰もいなかったかのように
彼らはその痕跡を消し、美しさだけを募らせる。

それを夜鷹は、どこか寂しそうに見つめていた。

人間たちがいた痕跡が埋もれていく。
草木に、枝に、花に、葉を。

何もかもが埋もれた葛のなか。
ふと、キラリと何かが埋もれているのが目を入った]

(8) 2024/05/12(Sun) 15:46:08

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