[ああ、みんな酷い怪我!
かわいそうに、死にぞこなってしまったのね。
跳んだコンクリートの破片に、身を強く打たれた者。
吹きあがった炎にあぶられて、火傷を負った者。
衣服が燃えている者も居た。
そんな者達を尻目、扉が無くなり開け放たれた厨房の中を覗き込めば、壁に大きな穴が開いて居るのを確認した。
向こう側には広い空と海が見え、大きな音に驚いたのだろう、羽ばたいた海鳥がニャアニャアと鳴いている。
厨房の中で転がって居るのは、今日の検査担当者らだろう。
爆発で死ぬ事が叶わなかったらしく、僅か動いて居るのが見て取れた。
未だ熱いその現場、室内に足を踏み入れる。]
不運な人
でも大丈夫よ
[そう言いながら、転がっていた重い、焦げた木製のペストリーボードを手に取ると、その者の頭に向かって力いっぱい振り下ろした。>>1:278]