[力を失ったように、結月は広げていた腕を下ろす。
ここは図書室なのに、結月が心静かにいられる場所だったのに。
真宮寺の方を見つめる瞳は揺れて、揺れて、でも涙は出ない。]
描きたいって思う日もありました。でも我慢したの。
部屋にはいろいろ置きっぱなしだけど……布かけて、それだけ。
つらかった。恋しかった。頭の中がいっぱいで苦しかった。
……でもね。でもね、せんぱい。
[結月は目を三日月のように細めた。
笑っている。仕方ないとでもいうように眉尻を下げて、口を開いた。
遠い記憶。懐かしい感覚がする。>>0:328]