― 展望施設 ―
はぁ……、
[黒いスーツに身を包んだ私と言う生命体は、空いていたベンチに一人深く腰掛け、星空を見上げながらつまらなそうにため息をつく。
遊戯施設等があるとはいえ、長い船旅にも、この星空にもすっかり飽きてしまった。
造り物を上映するシネマには特別な魅力を感じないし、AI相手の空っぽなゲームにも興味はない。踊るアクアリウムは壁に映るただの映像で、なんだか虚しい。
勉強以外にする事が思いつかない私は、大抵この場所でぼんやりと、習慣のように星を眺めている。
この時間帯、大学のリモート講義は無い。
ホワイト・マーブルにある所属大学に通った事は一度も無い。講義は全てリモートで受けており、学友なる者達の事は何も知らない。
あちらに付いたら、実際の大学へ顔を出すのだろう。
母親は転勤で既にホワイト・マーブル入り。
自分は残りのハイスクールの日付を消化し終わってから、追って時期外れの転入…、移住をする形となった。]