[無言のまま、ページを捲る。捲る。――。 冊子の残り三分の一のところで、日記は途切れていた。 捲られた形跡のない白紙をさらりと指で流し、ぱたり、と閉じる。] なんで。 なんで、君が、そう思うんだ。[宿主の記憶の中に一切ない、整った、丸みを帯びた筆跡。 その記録の最後だけは、まるで別人の文章のように見えた。 仮に最後のページだけを切り取って見たならば、シェルタンはきっと、文字通りの内容しか読み取らなかっただろう。 けれど――。]