>>-215>>-216(>>8)ヤワタ
[そして、少領主の息子が娘を手に入れてから一年の時が流れた。
息子の耳に目出度い報が届く。
"娘が懐妊した"という報せだ。
このお目出度い報せに、懐妊の祝いに、男は早速夜に祝宴を開いた。
美味い酒に、豪華な食事。そして、傍らには自分の側室である美しい娘の姿が有る。
酩酊し、気を良くした男は酔いに身を任せ、ついつい口走ってしまう。
『儂の妻は美しかろう。
あの愛と美を司る女神…ウェスターニャですら足元にも及ばない。
この世で最も美しいのは…儂の妻だろう。
ははは!儂はこの世の幸福を欲しいままにしておる!この幸福は誰にでも得られる物ではない!』
傲慢な男の声は祝宴に居た人間達だけではなく、神の元へと届いてしまう。
そう、愛と美、そして家庭を司る処女神ウェスターニャその本人にも。
ウェスターニャは怒り狂った。
その高慢で傲慢で不遜な、神に背き、逆らうその姿に。]
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