[生まれてから今まで、何度も色んな人に言いづけた台詞にはいつも飴が添えられていた。
誰かが悲しい想いをしていたり、幸せな想いをしていたらその気持ちに添うように味も形も変えて。
私は生まれた時から魔法が使えた。世界を変えたりは出来ない、けど飴を作り出せる魔法。
村の外に捨てられていた小さな赤ん坊の私のことを、拾って育ててくれたおじさんとおばさんも最初は驚いていたそうだけれど、その力を受け入れてくれた。
おかげで最初は小さな飴玉から、今では等身大の飴細工を作れるようになって。いつしか私は飴を作るアーティストになって村で飴を配るようになった。
アッシャー祭の前日には習わしの後押しをするように、やってきた人達に「勇気がでる飴」と言って飴玉を配るようになったのも歳が十五を超えた頃。
私は18歳。「勇気が出る飴」はちょうど今年で4周年目を迎える。]**