[ その頃には、老婆と少年の会話もひと段落ついていたか。 まじまじと二人を見つめ、店内へ視線を巡らせ 意を決したようにちいさな声で言葉を咲かせる。 ] ……あの ひとり、なの、……ですが……[ 紡いで、はたと気付く。 おひとりさま専用と銘打ってある店なのだし 自分は誰がどう見たって連れ無しの一人客だ。 ここに来るまで、自分がどうも口下手であるということも 己は忘れてしまっていたようだった。 ]