[そんなときだろうか。いや、最初から待っていてくれたのかも知れない。
目の前には夜に浮かぶ星屑のようにきらめく毛並みの獅子がいて。流暢な人間の言葉で自己紹介を受ければ、先ほどの行為も見られていたのだろうか、と恥ずかしく思いつつも笑みを浮かべた。]
あらあら、ご丁寧に。ローズ・メディレアと申します。
素敵な場所へお招きいただき光栄ですわ。
[ゆるりとローブのスカートをつまみ、右足を内側にひいて。
夢の中だから獅子もしゃべれるのかしら。それとも、ますこっと?というものだからなのかしら。
事象について思考を巡らしている自分に気づき、考えを止める。
研究者としての悪い癖。ここでの私は仕事で来ているわけではない。目の前のものについて純粋に楽しまないと。
内心苦笑しながら、パンフレットを受け取った。]
ありがとう、レオーネちゃ・・・くん。
[ちゃん付けで話そうとする癖はなかなか抜けず。
もし相手の表情が少しでも変わったならば、ごめんなさいね、と困ったように笑みを浮かべつつ謝るだろう。
本当は、謝意を述べたところで思わず相手の毛並みをなでようとしたのは内緒だ。]