[あなたと男の間に広がるは、ホログラムで描かれる平面の、しかし空中へ立体的に立ち上がる無数の文字や画像写真、そして動画データ。
プロフィール、出身、所属、作業評価、過去のレポート、報告記録、エトセトラ、エトセトラ。
これらすべてがあなたの物であり、起動してから現在までの、あらゆる情報の束だ。]
さて、
この情報に覚えはあるね
[マスクをずらした男の指先が示したのは、あなたがこの施設へ送られる事となった大きな理由、『規約違反』の項目。
ホログラムの項目をなぞるように指先が伝い、タップ、スライド、再度タップ、オフ。別なデータを起動させる。
現れたのは施設内でのスケジュール。それと、記憶消去行為に同意する署名を求める項目。]
君はこの罪状の元
当記憶処理施設に送られた
そして数日後に全ての記憶を削除
残った機体は再起動の後、
新たな任務についてもらうよ
[記憶消去の後、ボディを再利用。この者では無い別の者として運用する。
名前や性格と言った個性は辛うじて引き継ぐものの、真っ白な新規機体として。]