─お別れ会/アレウスと─
[>>0:202ジュースを貰いに行った時、周囲には既に飲み物を貰った何人かの団員達の姿があったか。
少年はいつも注いでもらう方。
飲み物を注いだコップを運ぶ係を申し出ると、大丈夫かという顔をされる事もあるが、今のところ零した事はない。
あと一、二年もすれば合唱団の中の中程の年頃になるので、年下の子の面倒を見てあげなければとは思っている。
今のところ出来ている事と言えば、移動の時に小さな子の手を繋いであげたり、空き時間に連れて遊んだりする程度。
アレウスの事は、お兄ちゃんの先輩だと思っていた。
優しくて、落ち着いていて、頼れて、大人みたいにコーヒーも黒いまま飲める。
少年の理想の兄像だ。
コーヒーの入ったコップを差し出されれば、大人の仲間入りをする気分でどきどきしながら口を付けた。
すぐににがーいと、眉尻を垂らす結果になってしまい、ミルクと砂糖たっぷりのミルクコーヒー―もはやコーヒー味のミルクだったかもしれない―にする事になった。
そうしてあんなに苦いコーヒーを飲めるなんて格好いい、と憧れを新たにしたのは間違いない。]