[>>5付いてきてと言う声に、スリに合わない程度に周囲を見回しながら、素直に後をついていく。
記憶の中のトループと辻褄合わせをするかのように、欠けた記憶を埋め合わせるように。
もう少し先、行き止まり、一本隣。
自分の記憶と言うのは案外あてにならないものだなと、小さな背を眺めながらほんの少し落胆して。
意地を張らずに道中誰かに道を聞くなどしても良かっただろうが、無防備に道を聞くのは唯のカモにもなりえる。
自分の言葉がすべて信じて貰えるとは最初から思って居なかった。
したたかで無ければ生きられない年齢、環境。ゆえにこの警戒は当たり前で。
けれどソレも溶けてゆくと言うのなら、誠意をもって接してよかったと思った。
警戒云々に関しては、出会ってすぐ飯を食いに行って意気投合したサファイアと言う男とのケースの方が珍しいだろう。]