―街外れの屋敷―
[目が覚めた時、外はまだ明るかった。時計を確認すれば、ベッドに入ってからそれほど時間が経っていない。
グリムが怖がっていた。
ヌルに覆いかぶさるようにして、ベッドのなかで震えている。
手早く身支度を済ませ、いつものナイフとスコップに加えてボールと瓶をいくつか持って、部屋をでる。グリムは置いていこうとしたが、離れないのでそのまま連れていく。
物音はしない。話し声も聞こえない。
慎重に、屋敷を見回っていく。グリムは何かに怯えながらも、懸命にヌルの後を追う。
グリムが何かを恐れるのは、初めてだ。それゆえに、ヌルも最大限の警戒を行う。
2階から順に部屋を確認し、1階へと降りる。
窓が一か所、鍵が外れていた。痕跡らしきものはない。
気配を殺し、順に部屋を確認する。台所、応接間、祖母の部屋――]