[全ては過去形だ。
ジジは蝋燭の灯が消えるように昨年末に天に旅立った。
『お前はほんに調子乗りだから気をつけて呪術師をしてくんだよ。ジジの全ては教えこんであるから安心なさい。ただ、いくつかの呪は多用してはいけないよ。特に野郎どもがせがむやつだ』
と完全に全てやり切った感じで穏やかな表情だった。
そんなわけで呪術師一年生の今年、アッシャー祭での仕事は――終わった。
準備、本番、片付けの日に晴れて穏やかな気候になって清々しく過ごせますようにと土地神に請い願い欲されるものを供物として捧げて宥めすかしてようやく、そうようやくだ。
この快晴を得た]
ふぅ……空が黄色く見える。
[徹夜も何日もしたので正直お日様が目に痛い。
ジジから譲り受けた赤い毛並みの熊の全身毛皮を頭から被った変な存在は呪術師ハウスの前で深呼吸の姿勢になったかと思うとすぐに蹲り悶え始めた*]