[…ちなみにだが、親が異常に厳しかったのは本当だ。今から150年以上前、まだこの身体が人間であった頃のこと。…吸血鬼に襲われて自分も吸血鬼として蘇生するまでのほんの僅かな時間のこと。
その頃は、産業革命がどうとか、どこかの皇太子が撃たれたことで戦争になったのがどうとかで、女子供であろうとも容赦なく働かされてたし、まともに食べられるもののほうが少なかった。
化学物質のせいで汚染されまくった水、
新大陸にたどり着いたあとの急発展。あの頃はまだガキだったアタシらそれに右往左往して、親のご機嫌取りしかできてなかったよ。馬鹿馬鹿しい。
あのとき、吸血鬼に襲われて1家全滅した中で、自分だけ吸血鬼として蘇生できたのはラッキーだと思った。
だって、食糧ならちょうど、移民も市民もそれ以外も、たくさんたくさん湧いて出てきた時期でもあったから。食に困らず、まだ警察などもザルな時代。好きな人間襲い放題だったあの吸血鬼なりたてが懐かしい。親から自由になったあの開放感といったらない!]