佐次詩羽

──そしてまた現在──

[宛がわれた広い自室は、少しずつ自分の好みのものが集まってきている。
特にこの世界の花は見たことないものばかりで、今まで部屋に花を飾るなんてしてきたこともなかったけど、ここでは出来る限り色々な花を部屋に置いた。

ちなみに、花は毎朝オズ君に届けてもらってる。
初めに頼んだ時は露骨にめんどくせーって顔をされたかもしれないけど、以降きっちり約束を守ってくれている（はず）

毎回花を選ぶとき、多少なりともわたしの事を考えたりしてくれるかな。
何を思いながら選ぶんだろう。
あえてそこは尋ねなかったけど、その様子を想像すると、こちらも何だか幸せな気持ちになれる。

花は毎日スマホで撮影してきたけれど、昨日ついに充電が切れてしまった。
撮影できない代わりに、スケッチしようか。
絵なんて描いた事がないけど。
今日は画材を探しに行こう、と決めたところで部屋の扉がノックされる]