思い出
[さっき、肩を借りて眠ったとき。
>>0:166幼馴染と過ごした日々のひとつを夢に見ていた。
身体が弱く引きこもりがちだった自分。
親や兄が心配するからその日も窓から外を眺めていた。
読書は大好きで、不満なんてなかったけれど。
いつしか雨が降りだして。
じゃあ仕方なかったんだって息をつく。
そんなとき、外から声がして。
ハッと顔を向けたら、やっぱり幼馴染で、勝手知ったる我が家の日本庭園から手を振っていた。
傘片手の彼は自分を迎えに来てくれたのだ。
あの頃はよく手を繋いでいたっけ。
寒いからとモコモコに着させられたあと、繋いだ手をぷらぷら揺らして、笑って、幼馴染の家へと歩いた。
わざと踏んだ水溜り、長靴を履いた足は軽くて。
ほんとは、どこまでも一緒に散歩できそうな気がした。]