[話がふっと止まるまで、少年は食い入るように聞き入ってうんうんと頷き心で噛み締めていた。>>0:384
その熱意はろくに写真に触れたことなどない聞き手にも伝わる程。
拘りだなどととんでもない。マストの話は三日三晩の酔狂で語れる内容ではない。
尊敬の念を強め続ける一方、ふと小さな頭に浮かんだ疑問。
この人はもしかして、今では居なくなってしまった人をその生前に撮影した経験があるのだろうか?
仮に仕事として行っただけの話でも聞くのは躊躇われるもので、一瞬過ぎっただけの思考として消える。]
でもそれって、撮ってる人が感情豊かだからこそ……ですよね
もし機械みたいな人だったら、思い入れもなく撮影してたら
きっと何も想いが見えてこない写真になるのかも、なんて
[だからマストさんに撮られる人はきっと幸せですね、と
少年は話を聞いた上で感じた自分なりの言葉を述べて、笑いかける。
彼のイメージするマストはそれはもう売れっ子の写真家で、沢山の人を撮影し感謝されている存在に違いない。]