[結月は真宮寺と向かい合うのをやめてしゃがみこんだ。足元の分厚い本を両手で懸命に引き抜く。] 図鑑、探しに来たんでしたよね。 たぶんこの辺りかなって思うんですけど……うあー、かた。おも。[話を無理に終わらせるつもりはない。引き延ばす気もなかった。ならば結月にできるのは、大好きな彼女の願いを叶えることだ。大きな図鑑を抱える結月の瞳は、もう、凪いでいる。]*