[こちらが気にしないように言ってくれたのだろう言葉。>>0:385
しかし、少年は悩む様子を深めてしまう。
仕事でも趣味でも、マストが素晴らしい写真家であることは違いない──まだその腕前を見てもない癖に、素直な子供は確信していたから。
それでもなんだかんだでその言葉に甘え結局お願いする流れに落ち着くが、恐縮がどこかに残っていたのは確かだろう。
鋭い観察眼を持つ大人に察されていることも、遠巻きに見ているスタッフ達の視線にも全く気づかずに一生懸命笑顔と目線を保とうとしていた>>0:386]
ひゃっ……
[故に突然集まってきたスタッフ達には思わず小さく声を上げる。
その後はもう百面相の如く、誰かの悪戯心とスタッフの陽気さに翻弄され、最後にはそれすら楽しくなり自然に笑みを零す子供がいた。
少年が思っていた撮影とは全然違った形になったけど、結果的にレンズを変に意識しすぎずに撮影してもらえたのだった。]