「遅刻するよー!」[双子の姉が、階下から私に声をかける。] はぁい。[いつもみたいに、一拍置いてのんびりと返事を返す。一拍、おくようになったのは。自分が見えているものが本当に相手に見えてるのかそれを考えるためのルーティーン。そう考える必要がない時も、こうするのが癖になった。姉と一緒に、向かう市立の高校。入学して1年。新入生気分はもうおしまい。再来年には受験生で、進路も大方決まっているだなんて信じられない!と姉が叫ぶのを横で私は、聞いている。]