[バレンスにとって、ウィレム所長は絶対の支配者であった。彼の言う通りに”柔軟な考え方”を身に着けたほどだ。制服を脱いでからも、それは変らない。脱獄は規則違反である。しかし、しかし、今も逃げ回り己の罪を隠す罪人を見逃すことは、”悪”である。バレンスは正義の人である。悪を野放しにすることは『正義』に反する行為である。善良なる人々の安全を守ることは最重要事項であり、何よりも優先されるものである。]