[首を、さする。それは癖に近い。立て襟に隠れた首元には、大きな傷跡が一つ。真横に一閃、傷跡も美しく割かれたソレは、改人が男の声を奪い取った時に付けられた物だった。声を失ってからも、傷がふさがってからも、まだそこに何か残っているような気がして。時折引っ搔くよう爪を立て、失ったことを再確認する。]